子どもの権利条約第31条がにわかに注目されている。のんびりと休み、気ままに遊び、時には絵を描いたり、ピアノを演奏したり、読書したり、芸術に触れることができる権利を謳っている。条文が言うまでもなく、無限に広がる遊びの体験、そして遊びの力こそが大人になるための必要十分条件だと確信する。そして、どのような時代がこようとも真正面から向き合える生きる力につながる。
一方、子どもにはたっぷりとした何もしない時間も必要だ。子どもにとって拷問にさえ思える退屈な時間を、楽しさに転換できる力も実はどの子どもにも備わっている遊び力ともいえよう。子どもが子ども時代を一生懸命遊んで良いという権利は、人類が生んだ最高の財産である。
認定NPO法人 芸術と遊び創造協会 理事長
東京おもちゃ美術館 館長
多田 千尋 さん